第二次世界大戦の呼び水となった不況対策

ヴェルサイユ条約

ファシストが起こり得た土壌と世界恐慌のメカニズム

第二次世界大戦がどのようにして起こったのか。今日ではその理由を説明できる人はなかなか多くないでしょう。
ファシストの台頭や、世界恐慌によって引き起こされたというセンセーショナルな話題が先にのぼりがちです。
確かに完全な間違いではありませんが、そのメカニズムにこそ世界大戦の発端となった原因があり、根底であると言えます。

第一次世界大戦終結後、1919年に敗戦国となったドイツに対し講和条約であるヴェルサイユ条約が締結。いわゆるヴェルサイユ体制が成立します。
ドイツの他、オーストリアに対してもこの講和条約が結ばれ、敗戦国となった国は領土の一部を喪失し、そこからポーランド、チェコスロヴァキアなどの東欧諸国の領土に割譲されました。
割譲された地域にはドイツ民族が多く住んでいたことから、民族問題が顕著化されたことは想像がつきやすい話ですし、昨今のウクライナ問題と似たようなことがあったと推察されます。

またヴェルサイユ条約において、一番の肝となったのが巨額の戦争賠償です。
ドイツはこの条約で400億マルク近い戦争賠償を背負うことになりました。当時のドイツは200億マルク程度の支払い能力しかなかったため、これはあまりにも巨額な戦争賠償であったといえることができます。
これによりドイツ経済は大きな闇に突入することになりますが、1922年には賠償金支払名目のもと、フランスがルール地方を占領し、ドイツ国内では瞬く間に社会不安が起こり、これが原因でハイパーインフレーションが起こったと言われています。
歴史の教科書などでも荷台車で大量の札束を運びパンを買う写真が出ていますが、ドイツはそうした状況にあった、ということです。

その反面、アメリカは非常に有利な状況で第一次世界大戦の終結を迎えています。
アメリカ本土は戦場となっていないため、復興などを行う必要がなかった、ということと、1920年頃からイギリスの生産力を抜き去り、一気に世界最大の工業国として君臨したため、1929年までは好景気により国民は安定した生活を送ることができました。
しかし生産過剰が災いし、そこから派生した農業不況と雇用抑制が組み合わさったことで、株価が暴落。いわゆるブラックマンデーが起こったのがこの時です。
この不況がヨーロッパにも影響し、世界恐慌になったと言われています。

市場の確保と摩擦が生んだ第二次世界大戦

世界恐慌が浸透した後、イギリス、フランスはブロック経済体制、アメリカはニューディール政策を打ち出します。両方ともに言えることは、世界恐慌を乗り越えるための政策でした。
ブロック経済はその名のごとく、関税同盟を結び、それ以外の国の通商条約を破棄したりするなどして、需要の漏れ出しを防ぐという性質のもの。ニューディール政策は、自由に行っていた商業に政府が介入することで、緩和と規制をコントロールするといったものです。
ある程度の市場規模を持った国だからこそできた政策とも言え、植民地を持っている国としてはこれが功を奏する事になりますが、反面、ドイツや日本といった小規模の市場しか持たない国は世界からつまみ出されるかのように、その恩恵に預かることができませんでした。
そこでこのような国は新たに市場を求めるようになり、日本は満州国の設立といった動きに転じるようになります。
またドイツでも、ヴェルサイユ条約による賠償金と世界恐慌からの立ち直りが難しい中、当時のドイツ国民にとっての救世主、ヒトラーが出現することになります。

宥和政策によって進められた戦争準備

第二次世界大戦が起こった主な理由は先述のとおりとなりますが、もう一つの大きな理由は各国がとった宥和政策です。
世界恐慌後、各国の市場統制、あるいは緩和といった政策によりいくらか持ち直しは見られましたが、それでも何かあった時に戦争をしようとするような体力はあまりありませんでした。
当時、ヒトラーのような独裁者が現れたことは驚きであったかもしれませんが、ドイツ国民の心情で考えればこのような人物の登場は不思議な事ではありませんでしたし、それよりも今の状況を打開するためにアメリカやイギリスはこぞって自国の経済を守ろうとしたため構っていられず、穏便に済ませたいという思惑があったと思います。
後の歴史においてもこの時にドイツを叩いていれば、ホロコーストのような事件は起こらなかったと言われていますが、世界恐慌の影響を受けなかった共産国、ソ連の力が増していることもあり、ドイツとソ連で拮抗してもらえれば、迂闊に戦争など起こらないであろうと言う予測もあったでしょう。
しかし、実際にはドイツはその間に電撃作戦の主力とも言える戦車の開発を行い、着々と力をつけていたことは有名な話です。

皮肉にも平和的に済ませようとしたことから、第二次世界大戦は始まろうとしていたのです。

参考記事

第二次世界大戦の背景 – Wikipedia
第二次世界大戦に至るまでの経緯

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