ミリタリーバランス2015年の動向

中国の国旗

中国の台頭が著しい21世紀初頭

イギリスのシンクタンク、国際戦略研究所(IISS)が2015年2月に世界の軍事情勢に関する報告書を発表しました。
その報告書「ミリタリー・バランス2015」の中で、2013年~14年に、オセアニアを含めたアジア全体の国防費増加額のうち、中国が63.4%を占めるという結果が出ました。
昨今、ベトナム、フィリピンを中心とする南シナ海問題、日本でも尖閣諸島の領有権が問題となるなど、中国と隣国との領土摩擦が度々、発生しています。

どうしてそのような背景になったかといえば、一番にはガス田をはじめとする資源獲得が挙げられますが、何よりも中国は今、一党独裁で行ってきた中国共産党政権に陰りが見え始めたことが、この問題の発端となっている見方もあります。
2010年代に入るまで人件費の安さから世界中の製造部が中国に集まり、沿岸部はもちろんのこと、内陸にも工場を多く設けてきました。
国民が経済的に安定してきたところに、株や不動産、投資信託といった資金運用にも拍車がかかります。ここまでは日本のバブル期と似ていると言っていいでしょう。
しかし、現在、中国の不動産市場はマンション販売で言えば飽和状態にあり、マンション一棟どころか街全体が新築で覆われたゴーストタウンのような場所もあるくらい、売れ残っています。
これらが顕著なものとなれば、一気にマンション価格が下落。投資に手を出していた中国国民が瞬く間に無一文になってしまうでしょう。
今年の夏には上海市場が暴落を重ね、大混乱をきたすこともありました。
そんな中国の内政状況はあまり芳しいと言える状態ではありません。ウイグル、チベットなどの自治区での人権問題といった民族的な対立問題もありますが、何よりも中国の大勢を占めている漢民族も政府に対する不満が多く、時々、社会問題化していることはニュースでも知られています。
そこで中国政府が太平洋へ進出する姿を国民に見せることで、力強い政府であることをアピールしています。
これら一連の動きが中国の軍事費増大を増長しているのです。

装備の近代化と海洋進出を狙う中国の思惑

ミリタリー・バランス2015の報告書では、中国の軍事費増大が大きくクローズアップされましたが、その中でもどの部分で軍事費を増やしたのか着目します。
まず代表的な事例が空母の保有です。元々、中国は大陸国家であるため、海上作戦におけるノウハウは乏しく、装備も旧来のものが多く占めていました。
しかし、太平洋進出を睨んだ動きを加速化させるため、ウクライナから空母ヴァリャーグを購入し、整備した後、遼寧と名づけ運用訓練を始める動きを見せています。
中国軍がこの空母を母港として使えるよう港を建造したということも考えると、その規模の度合が大きなものであることがわかります。
またこの他にも自国での空母建造計画を進められています。
一方、現代の戦闘において戦略上不可欠な制空権の維持を得るため、第5世代戦闘機の開発も進められています。
第5世代戦闘機とは、アメリカのF-22ラプターに代表されるステルス機能を持った戦闘機で、技術的優位にあったアメリカを脅かすまでに成長したとも言われています。
もっとも、先述の空母の運用がまだ始まったばかりであることを考えると、本土外では脅威と言うにはまだ早い段階だと思います。

法改正と同盟強化で安定を図りたい環太平洋諸国

日本はつい先日、強烈な反対の声がある中で憲法解釈変更による安保法案の改正を行いました。
また沖縄県では知事が反対を表明するなどする中でも、辺野古基地移設について計画が進んでいます。
こうしたことが起こる背景には、太平洋進出を目論む中国政府とのギリギリの駆け引きがあるものと予想されます。

参考記事

ミリタリーバランス(IISS)(English)

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